2020/3/23仕事

Story of 認知症に備える

今回は、認知症についてのお話。

皆さんは会話中、どんな一人称を使っていますか?
女性は主に「私」でしょうか。
男性の場合、「私」「俺」「僕」などがありますね。


男性でも基本は「私」を使うのがビジネスマナーな感じですが、そのまま仲良くなった場合とか、距離を詰めたいなぁと思うときなんかはちょっと悩みます。
この業界では比較的まだ若い部類に入るので、「僕」を使うと少しフランクになるかなぁなんて思っています。

「ぼ⤴く⤵」ではなく、「ぼ⤵く⤴」というイントネーションにすることで子供っぽくならないと思っています(笑)

女性にとってはたかが一人称かもしれませんが、意外と男性は気にしてると思います。

ちなみに、沖縄の女性は「下の名前」を会話中の一人称に使う方が多いです。決してぶりっ子ではないのですよ。


みんな怖い認知症


さて、本題に入ります。
「認知症」決して誰もなりたくないものです。
認知症になったらどうなるのかをざっくり。


やっぱりピンピンコロリと元気なうちに急にぽっくり逝きたいですよね。
私もです。
人に迷惑をかけてまで長生きしたいとは思いません。


が、なかなかそうもいかず、長生きと認知症は切っても切り離せないものです。
実際のところ、認知症は現在ではまだ不治の病です。
認知症というのは徐々になっていくもので、突然なるわけではありません。
当事者としては、そこが精神的に最もつらいようです。
自分ができないことが少しずつ減っていくことが理解できるそうです・・・


平均寿命が延びていることはご存じでしょう。
金融庁が、老後約2000万円の貯蓄が必要という試算を出して、ショッキングなニュースとして取り上げられました。
ここでいう平均寿命はあくまで、状態問わず生きている人のことを指しています。

【平均寿命】
男性 → 81.25歳
女性 → 87.32歳


平均寿命が延びるということは、それだけ高齢者の数が増えるということと同じです。


重要なのは、平均寿命というよりいつまで健康でいられるかです。
健康寿命という指標があり、こっちの方が断然重要です。
目指すはピンピンコロリ。
健康でいることが何よりも大切です。

【健康寿命】
男性 → 72.14歳
女性 → 74.79歳


実際の現場では、ご高齢な方の相続や贈与、不動産取引に関わると認知症か否かが問題になるケースが多いです。

高齢の方の相続の場合、相続人も高齢のことが多いですし、贈与や不動産取引の場合、理由がそもそも高齢だから売れるうちに売りたいとかあげたいとか。
まぁ必然認知症の方も多くなります。


結局何が困るのか?


法律に少し詳しい方はご存じかもしれせん。
認知症が進むと、意思能力がないとされ法律行為はすべて無効になってしまいます。
簡単に言うと、ある程度の認知症の方は契約などが一人でできなくなります。

【法律行為の例】
 相続の場合 → 遺産分割協議
 不動産取引の場合 → 売買契約
 贈与の場合 → 贈与契約


皆さんが普段利用しているスーパーやコンビニで買い物する行為も売買契約です。
つまり、やりたいほとんどのことが一人ではできないということになります。
(日用品の購入など一部はOKとされています)


認知症になってしまうことはもうしょうがない。
今のところならないための対策って言っても、脳トレするとか、はちみつがいいとか正直その程度です。


法的な対策を考えると、①任意後見 ②法定後見 ③認知症対策信託(家族信託)ぐらいしかありません。
そのうち、元気なときにしか使えない対策が①と③です。


正直言って、私の体感では認知症になる前に対策をしている人はほぼいません。
誰もなるなんて思ってませんからね。


じゃあどうするか。
事前に対策しないなら、なってから考えるしかありません。
認知症になってからは、②の成年後見人という制度しか方法はありません。


これを最重要な仕事として、専任でやられている方もいるので、大変申し上げにくいのですが、私自身は成年後見制度は嫌いです。
とにかく扱いにくいんです。
不動産を売りたい、とか相続したい、とかそういった理由だけで後見をつけると大抵後悔します。


細かい制度は割愛しますが、今まで当たり前にやっていたことが、裁判所の監督下におかれ、報告が義務付けられます。
専門家がついたらその費用も延々と負担し続けなければなりません。

もう少し臨機応変になってくれればと心から思っています。
この制度が有効に生きる場面も多くあることは理解していますが、一元的なルールすぎるところが問題なのだと思います。


なので、認知症の対策は元気なうちに是非。
おじいちゃん、おばあちゃんの相続のときも認知症を意識した相続の仕方をするだけであとから結構変わりますよ。


我々司法書士には、この辺の意思能力の確認をしなさいと、とりわけ厳しく求められているので、特に敏感になります。
売りたい、遺産分割したいとか事情はよく分かります。っていうか分かってます。
分かるんですが、できないときはできないと言わざるを得ない職業なのです。
その辺はご理解いただけると本当にありがたいです。


先日もご高齢の方の本人確認と意思確認のため、長野県まで高速バスを使って行ってきました。
かなりご高齢だったので、心配でしたが、物忘れは年相応といった感じで、意思はしっかりしてらっしゃったので、一安心したところです。
その辺は、こちらも相当神経使っております。


なんかお願いみたいになってしまいましたが、正しく理解して対策をしておかないとやりたいことをするのは難しいのが実際です。


これから、私たちは高齢者との関わり方をより一層考え、理解を深める必要があります。
法律ももう少し、高齢者とその家族に優しく、臨機応変なものに変わるようになるといいですね。
(議員になる気は一切ないので、そういうの詳しい方が立候補されれば投票します(笑))


でも、まぁ元気なお年寄りも多いですから、むしろ社会で活躍できる仕組みづくりの方が重要だと個人的には思います。

多分社会における役割だとか仕事だとかがあれば認知症になる確率も下がるのではないかと科学的根拠もなく思っています!!