2020/3/16仕事

Story of お客様の声

相続問題を考えるときは、ポイントではなく全体を見ることが重要

相続の相談は全体を知らないと難しい


コロナウイルスの影響で、打合せにマスクをしたまま参加すべきか毎回悩みます。
お互い表情が見えないで話すのって難しくないですか?
あと、普段の1.3倍ぐらいの大きさの声を出さないと相手に伝わりにくい。

本当はマスクを外したいのが本音ですが、相手が嫌がっていたらいやだなぁと思うと外すに外せず。
マスクをしていても相手に表情が伝わるほどの目力が欲しい今日この頃です。


さて、ここのところ、相続のご相談がまた増えてきています。
いろんな家庭のいろんな問題を聞かせてもらいますが、答えは一筋縄ではいかないものも多いです。


ともあれ、最近のご相談の印象は、依頼者自身がそれなりにネットや書籍で情報を得ていて、こういう風にしたいんだけど、と自分なりの方針を持っていることが多いです。

・・・ごめんなさい。私は皆さまが『こうしたい』、『ああしたい』、はあまり真に受けていません。
正しい選択をするためには、正しい情報の抽出とそれに対する正しい選択肢が必要だと思います。


先日のご相談は、家族信託を利用したいとだけ伺っていました。


なんでも、お父様が余命宣告をされておりまして、お父様が亡くなられた後、ご自宅を以下のように移したいそうでした。



お父様 → お母様 → 娘さん




確かに、お父様が家族信託を利用することで、所有権をこのように移転させることは可能です。
ここからは、この選択が考えられるベストな選択肢なのか、お客様と一緒に考えていきます。


まずは状況を整理していきます。
なぜ家族信託を利用するのか。普通にお母様死後に娘さんが相続すればいいのでは?と。

それに関しては、家自体はお母様が住むものの、お母様は前婚の際に子供がいるらしく(いわゆる異父兄弟)、お母様死後に面倒が発生する可能性がありました。


また、なぜお母様に相続させるのかを確認すると、住むのだから住む人が所有するのが普通だろう、ということのようでした。


なるほど、これでお客様が考えていることは大体わかったのですが、状況整理の中で気になった情報が一つ。


お母様は精神的な病を抱えているらしく、状況は悪いようでした。
正直このまま一人で自宅で暮らせる可能性は低く、また、自分の意志で不動産を売却しようにも、日々言っていることが変わるため、安全な売却は望めない可能性が高いと結論付けました。

お母様が仮に施設に入る場合は、自宅が不要になり、売却資金をお母様の生活費に回せることを考えると、お母様存命中に売却の可能性は十分にあり得ます。


結局、この件は、家族信託を利用するのは得策でないと助言しました。

第一に、所有と住むは親しい親族間においては必ずしも一致しなくてもよいこと。
第二に、ご自宅はその後の処分(売却、賃貸など)を迅速に行う必要がある可能性があること。
第三に、家族信託は費用が高くなってしまうこと。

などから総合的に考えると、お父様から娘さんが直接相続することを優先した方がいいのではないかということです。


家族信託を利用してもほぼ同じ結果は得られるものの、費用は倍以上かかります。
もちろん、お母様が全く納得してくれない場合は、難しいかもしれませんが、選択肢は他にもあることを知って選んでいただくことになりました。


家族信託をしない場合は、お父様には遺言書をしっかり残していただき、円滑に相続手続きを済ませられるようにすることが今求められている近々の課題であることをご理解いただきました。


遺言書がない場合、お母様との遺産分割協議がうまくいかない可能性も十分考えられます。

間違ってはいないけど、最善じゃない選択をしてしまうことはよくあります。


私の役割は、そういう話をできる限り今できる最善の選択肢に導くことじゃないか、というお話でした。


相続関連の相談を受けるときに気を付けていること


最後に、相続のご相談を受ける際に気を付けていることをまとめておきます。
相続に慣れていない同業者の方も少し意識して相談に乗るといいと思います。


①家族関係を確認すること

年齢、性別、既婚未婚、子供の有無、住所など家族の関係性を教えてもらっています。
相続を考える際に、最も重要な情報といっても過言ではありません。
ただし、この情報は信じすぎないこと(その情報が正しいとは限らない)。


②相談者の悩みを聞くこと

どんなことを悩んでいるのか、とにかく気持ちを含めて聞く。
ガス抜きも必要です。
案外こういうところに重要な情報が潜んでいることもあります。


③当事者が複数いる場合はそれぞれの話を聞くこと

足並みがそろっているように見えて、それぞれの立場や考えがあるので、実は細部で狙いが違ったりすることはよくあります。


④相談者のこうしたい、ああしたいはあくまで選択肢の一つであると認識すること

もちろん、結論は相談者の利益になるように提案しますが、その過程や方法は相談者の望む方法ではないかもしれません。
相談者はこうだろう、と思って話をしますが、大事なのはその結果どうしたいのか。
そこまでの道筋を考えるのは我々の仕事です。
「遺言書を書きたい」は方法であって結果ではありません。


何事も無理はしないで早めに専門家に頼るようにしましょう。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!!