2021/2/15仕事

Story of 流行りものには気をつけろ

流行は作られるもの



皆さんは流行物は好きですか?
ファッション、テレビ、アプリ、SNSいろんな流行りものがあります。私は流行りものには一度食いついてみて、それが自分に合うかは自分の尺度で判断するタイプでして、流行っているからという理由ではあまり続かないタイプです。面倒な性格をしているなぁと我ながら。
何も考えずに流行りに乗るという方が人生を楽しめるようにも思います。


我々の業界での流行について思うところがあるので、今日はその話を。

認知症対策のご相談を受けました。
遠方(といっても片道1時間半、但し新幹線利用)に住んでいるお母様の財産を管理するのに心配があるとのことでした。

もともと言い出したのはお母様らしいのですが、どこかで家族信託という言葉を耳にしたらしく、家族信託をするにはどうしたらいいのか?ということでした。
息子さんもまた家族信託という言葉をどこかで耳にしたらしく、認知症対策には家族信託が適していると聞いたそうです。
一般の方が普通に耳にする程度には家族信託の流行っているようです。

否定はしません。家族信託にも認知症対策はあります。ですが、ここはひとまず冷静になるべきです。
認知症対策にもいろいろありまして、合わない方法を選ぶとろくなことにならないのが認知症対策です。


認知症対策の手段

認知症対策と言っても方法はいくつかあります。

①任意後見契約
②成年後見申立
③家族信託
④事実上の管理



今回細かい対策の方法は説明しませんが、これだけの方法があるということです。
つまりは、家族信託だけではないのです。


家族信託が向いている人はこんな感じです。

①アパートや事業用賃貸など賃貸経営を行っている
②認知症になっても投資や相続税対策をしたい
③会社経営のために株式による議決権を行使しなくてならない
④ある程度金銭的に余裕がある


上記のような条件に当てはまる方には家族信託による認知症対策が適当だと思います。
もっとも、家族信託だけしても別途成年後見を申し立てなきゃいけないときもあるので、その辺もふまえて選択する必要がありますけどね。
正直言って、認知症対策としては穴が多いと思ってます。

任意後見、成年後見にもいろいろ問題はあって、これも万人に当てはまるようなものではないです。正直言って、事実上親の財産の管理を子供が行っている家庭も多く、その方が良い場合も多いです(こういうことを司法書士が言うと怒られるだろうけど。でも成年後見も家族信託も万能じゃないんだから仕方ないだろ!!とホントは声を大にして言いたい)。

ちなみに、今回は全部の方法を説明して、財産管理委任及び任意後見契約を検討したいとおっしゃっていました。
どの選択をしてもちゃんと理解した上で選んで欲しいと思います。


流行りって正しいですか?

認知症対策の家族信託が『流行っている』という印象を受けています。
『流行る』ことによっていろいろな人に認知され、認知症の対策をしなくてはならないと思うことは重要です。メディアへの露出や広告物への掲載は、そもそもの警鐘として役に立つのは間違いありません。

しかし、『流行る』と疑わずに盲目的に信じる人が増えてくることがあり、正しいかどうかの判断がされなくなっていく風潮があると思います。
でも、家族信託はあくまで認知症に対する一つの選択肢でしかないんです。しかも万人に当てはまるものでもありません。

勘違いしないで頂きたいのは、決して家族信託を否定しているわけではありません。家族信託自体は素晴らしいものです。
家族信託でしか実現できないことがたくさんあります。また、私たち士業の新たな仕事の場として、専門的かつ役割をしっかりと担える良いものです。

私が言いたいのは、どんな方法でも選択肢が十分に与えられないまま選んだ答えは最善になるとは言い難く、
そのためには、我々専門家側こそが表面上の知識だけでなくその人のためにどんな選択肢があるかを考え提供することが重要だということなのです。

なんでもかんでも家族信託と言っているあなた、私はあなたを専門家とは認めません。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!!