2020/2/26仕事

Story of 使い道のない土地の相続

いろいろご相談を頂く中で、多いのが使い道のない土地の相続です。

使い道がない=いらない土地


使い道のない土地とは何だと思いますか?
いわくつきの土地とか、自宅から遠くて使えないとか、いくつか理由もあると思います。
使い道がないということはつまりいらない土地なわけです。


いらない理由は感情的なこともあるでしょうが、ここでは、いらない土地とは資産価値のない土地と定義しておきます。
つまり、いわくつきだろうが、自宅から遠かろうが、資産としての価値があればいらない土地ではないと考えます。


要は自分にとってはいらないものでも、他人から見れば十分に価値のあるものも世の中にはたくさん存在しています。
物の価値なんて自分だけの評価では測れないものでしょう。
少々話がそれましたが、不動産は少し難しいところがあります。


不動産の評価には、国が出している価格だけでも、固定資産評価額、路線価、公示地価の三種類があります。
前二つは実際の売買の価格ではなく、それぞれ税金算出のために利用されるものです。
公示地価はより実際の売買価格に近いものとして参考にされますが、全国どこでも設定されているわけではありません。
一見、国の評価では価値がなくても、欲しい人がいれば売値はつくだろうし、逆に国の評価は高くても、流通性がなければ価値はないに等しいわけです。
ちなみに、地目が農地というだけで、売却は極端に難しくなります。


相続したいですか?その土地。


今の60~80代で亡くなられた方の相続を手掛けると、バブルの頃に、開発が進むことを想定した買った(買わされた)土地を持っている人のなんと多いことか。

しかも、結局ほとんどの場合開発が行われず、二束三文の土地にしかならないところがほとんどです。
恐らく当時の儲け話なんてほとんど詐欺みたいなものだったと推測しています。

東京近郊の方だと、長野県、群馬県、栃木県あたりの別荘地(とする予定だった場所)が多いです。


ちょっと前に、伊豆の別荘が不動産販売サイトで100円で販売され話題になりました。
でも、これ笑い事じゃなくて所有者にとっては大変なことだったと思います。


なにせ別荘地ですから、固定資産税だけでなく、管理費その他もかかっているわけで持っているだけで資産が減る、まさに負動産といったものであったと思います。
別荘地特有の問題で、管理会社が別荘地エリア全体を管理しているようなものも散見されますが、実際に別荘を使っているかどうかは関係なく、そのエリア内に不動産を所有しているというだけで月に数万円の管理費がとられるような場所もありました。



そうなってくると、正直言って 相続するのもは迷惑と思ってもしょうがないと思います。
ちなみに、今時別荘を欲しがる方は少なくなっているので、流通性はかなり低いので、売れたくても売れないのが現状です。


少しだけ話はそれますが、空き家はなぜ空き家のままなのでしょうか?
使わないなら取り壊してしまう方が安全じゃないか?と思いますよね。


ここにも税金上の問題がありまして、土地というのは建物が建っている方が価値が下がります。
使いもしない、売れもしない土地を相続した人達は、税金を少しでも減らそうと思って、いまにも壊れそうな建物をそのままにしておくんです。



この点については、 空き家等対策の推進に関する特別措置法で強引に対処しようとしているところがあります。
個人的には、法律自体はいいと思いますが、もう少し不動産の出口対策まで考えてくれないとできないものはできないで終わってしまうのではないかと思っています。



さぁ、いらないのはよくわかりました。では、どうしましょう?


と聞くと、お客様のほとんどは、『国、県、市にあげようと思う』とおっしゃいます。

まぁそれが一番いいですよね、と思いながらも答えは、今は自治体のほとんどはタダでも受け取ってくれません、となってしまいます。



自治体にとっては税金の成る木ですから買い取ったり、贈与を受けたりはしないんです。
残念ながら、いらない土地を相続しないという対処法はほぼありません。


『ほぼ』であって、まったくないわけではないです。
まぁ事前の準備が大変なので、亡くなられてからどうにかできるものではないことは間違いありません。


ここで説明すると少し長くなるので、ご興味がある方は個別に聞きに来て下さい笑
ということで、使い道のない土地の相続はいまや3人に1人ぐらいは抱えている問題で、社会問題といってもいいと思います。


一見価値のある財産に見えても、その不動産、負動産かもしれませんよ?