Story of 不動産の共有はなぜ避けた方が良いか?(相続時)
今日できることを明日に延ばすな
だいぶ暖かくなって、外に出たくなる季節になりましたね。最近はどこに行くにもカメラを持ち歩くようになりました。
どちらかというと、写真よりは動画派なので、気になるものを動画で撮って記録しています。写真もいいですが、動画はその場の雰囲気を切り取れるのが魅力だと思っています。
個人的には、断捨離とかそういう場面でも写真や動画が今後役に立つのではないかと思っているので、事業展開も考えていこうと思います。
今年はビデオグラファーとしての腕も磨いていきます!!
さて、いきなりですが、不動産の相続のとき、共有はしない方がいいというお話は聞いたことありますか?実際私もできる限り、共有はお勧めしていません。
不動産が関わる相続では、その不動産の取り扱いには特に注意を払う必要があります。先日、遺言書作成で関わったお客様も、相続のその先の不動産の処分で頭を悩ませることになりました。遺言書作成の時点では決めきれないこともたくさんありますよね・・・
そこで今日は、なぜ相続時に不動産の共有を避けた方が良いのかというお話をしていきたいと思います。今回の話はあくまで相続時の話です。不動産を購入するときはまた全然違う要素を考える必要があるので、それはまた別の機会に。
そもそも不動産の共有とは?
相続の際、遺産のうちを不動産が多く占める場合、どうしても不動産を共有してしまうケースがあります。では不動産の共有とはどういう状態でしょうか?
共有とは・・・
共有している人全員で一つの不動産を持っている状態を指し、それぞれが自分の持分に応じて使うことができる状態とされています。
重要なことは以下の部分です。
①少なくとも持分を少しでも持っている限りにおいて、その不動産を使う権利がある
②共有者の一人が処分行為をすることはできない
①があることで、少ししか持分が無くても、一応その不動産を使う権利があるので、当然に追い出すことができるわけではありません。なので、使っているのがほんの少しの持分しかもたない共有者だったとしても出ていかせようと思っても簡単にはいかないのです。
また、家賃収入があるような不動産では不動産の持分に従って収入を得ることになります。家賃収入があると、金額によっては毎年確定申告の義務が生じますので、不動産持分を取得する場合にはその点にも注意が必要です。
②については、処分行為とは何ぞや?という話がありまして、そもそも共有物に対する行為に応じて3段階のルールがあります。
民法は以下のとおりです。
第二百五十一条(共有物の変更)
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
第二百五十二条(共有物の管理)
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
これをまとめるとこの通りです。
(1)保存行為 → 共有者が単独で実施可能
共有物を維持するための行為
例)不動産の小規模修繕 抵当権の抹消登記 相続登記 など
(2)管理行為 → 共有者の持分価格の過半数の決定によって
共有物を利用、改良する行為
例)短期賃貸借契約の締結 賃貸借契約の解除 大規模リフォーム など
(3)処分行為 → 共有者全員の同意によって
共有物の性質を変更する行為
例)売買や贈与 抵当権の設定 長期賃貸借契約 など
共有者がいる中で何かを行う場合は、上記のどれに当てはまるのか、よく考えて行う必要があります。また、その行為に対して共有者の足並みをそろえることができないと、やるべきことがあっても実行できません。
共有の何が問題か?
共有の性質についてざっくり説明しました。
夫婦で共有しているような場合は特に問題は発生しません。(夫婦で不動産を購入するときはむしろ共有にしないと贈与税が出てしまうこともあるので、そっちを注意しましょう。)
相続のときに共有するのは、一定の場合を除いておすすめしません。
(1)居住用不動産の共有問題
不動産の共有を避けた方がいい最も大きな理由は、不動産を使用、居住できるのは、共有者のうちの1世帯のみであるという点です。
相続が発生するとき、子供達はそれぞれ別の生活を送っていることがほとんどです。すると、みんなで共有しても住めるのはたった1世帯です。住んでいる人間以外の共有者は持分を持っていたとしてもほとんど価値がありません。それどころか、その状態をそのまま放置し続け、代が変わって子供や孫達の代になったときに従妹同士で不動産の譲渡(売買・贈与)を行う必要が出てきます。
従妹ぐらいの関係になってくると、だんだん関係が浅くなっていき、より金銭での解決を求められるようになります。仮に贈与で済んだ場合でも、贈与税が高額になる可能性もあります。
尚、自分の持分に応じて、住んでいる人間に対して家賃を請求することは可能です。但し、実家に住む子供は多くの場合、両親の面倒を看ていたケースが多く(2世帯住宅など)、持分があるからと言って他の共有者から家賃を請求しにくいのが実際のところです。請求できたとしても関係が壊れたしまうことも・・・
(2)投資用不動産の共有問題
居住用不動産ほどではないものの、投資用不動産の場合にも、また別のリスクがあります。
不動産の修繕程度あれば良いですが、大規模な投機的要素を含むリフォームは管理行為に当たり、共有者の価格に応じて過半数が同意する必要があります。賃貸経営は、家賃収入と修繕費及び改装費のバランスが最も経営的判断を求められるところです。素人共有者が修繕費をケチってしまい入居者が決まらない、あるいは相場より低い家賃でしか入居者が見つからないということはままあることです。
賃貸借契約の締結に関しても、長期の契約を結ぶ場合は共有者全員の同意を得ることが必要です。いつか自分が使おう、なんてひそかに思っている共有者がいるとこの辺りは揉める要因になります。
居住用不動産でも投資用不動産でもそれぞれリスクがありますが、いずれにしても、不動産には出口(処分方法)が必要です。唯一共有してもいい場面として明らかなのは、相続人が直ちに売却する場合です。売却すると、持分に応じて売却代金を分けることになるので、この場合は、不動産を共有しても良いと言える場面です。
誰が相続して、最終的にどうするのか決められないまま共有状態を継続するというのは最もトラブルの種となる手段です。不動産は、誰かが使用する、売却する、貸して収入を得る、放置する、これらのどれかに必ず当て嵌まります。
これが決まらないでいるというのは、もし1人でも反対者が出たときに裁判沙汰にまで発展する可能性があるということです。そうなると、以降の親族付き合いは難しくなるでしょう。
共有する時点でどのような出口にするのか決めておくことが求められます。判断がつかないときこそ、不動産の出口対策を提案できる専門家を話し合いに交えるべきです。
まとめ
不動産の共有は、先延ばし的発想のケースが非常に多いです。子供や孫に迷惑をかけたくないのであれば、相続において、先延ばしは最もお勧めできないことです。不動産は必ず出口を想定してから相続するべきです。
できれば、残す人自身がその処分方法を決めてあげるのが最も有効です。確かに、正しいかどうか、損しないかどうかはとても大切なことです。専門家がいたら成功率は上がるかもしれませんが、最終的には運の要素を取り払うことはできません。ときには期待しすぎないことも必要です。
ということで、相続人のみんなが仲良くいるためには、不動産の共有は避けましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!