2021/2/8相続

Story of お一人様の相続

旅は身も心も身軽がいい


私事ですが、娘が生まれてから、4ヶ月ちょっと経ちました。
生活が不規則になってなかなかブログを更新できなくなりましたが、またブログ更新していきます!!
少しでも何かためになるような内容にしていきます。


さて、遺言書の作成依頼ということで、去年から長く関わらせて頂いているお客様がおります。
このお客様はいわゆるお一人様でした。
遺言書の依頼ということで相談を受けていたお客様ですが、いわゆるお一人様の相続には問題点がいくつかあります。
そもそも遺言書を作りたい、という想いをお持ちの方は既にいろいろと他にも心配事を抱えているもので、それらも併せて解決していかなければなりません。


ということで、今日はお一人様の相続について。


お一人様とは?

一口にお一人様と言ってもいくつか種類があります。

(1)相続人が一切いない(いわゆる天涯孤独)
(2)相続人はいるが何らかの事情で関わりたくない、関わらせたくない
(3)相続人はいるが近くにいない

広い意味ではいずれもお一人様と言えます。
このお一人様、それぞれ対策しなければならないことが違います。
上記の中でも特に気を付けなければならないのは個人的には、(2)ではないかと考えています。

なんとなく(1)が一番大変という感じがするかもしれませんが、色々と深く考えると最も対策を講じる必要があるのは(2)なのです。

次は個別の対策について、(2)がなぜ大変なのかも含めてお話ししていきます。


そもそもどんなことを気にしないといけないの?

そもそもお一人様が気にしなくてはいけない手続きはなんでしょうか?
法的なことしかり、実際に亡くなったときに発生する問題しかり色々とあります。
今日は6つのテーマで整理します。

①遺言書

遺言書があれば、あなたの財産を必要な人に相続させたり、贈与したりすることができます。
それ以外にも、お墓の面倒を看てくれるような人を指定したりと他にもたくさんのことを遺言書で決めておくことができます。
私の立場は、基本的にほぼすべての大人が遺言書を書くべきだという立場ではありますが、最悪の事態ではないこともあり、今回は重要度が低めに位置していることがあります。
遺言書については過去にも何度もブログに書いているのでよかったら読んでみてください。



②財産管理委任契約&任意後見契約

認知症や身体が不自由になってしまってもご自身の意思を反映するための契約です。認知症になってしまうと、思っていたように契約もできなくなり、財産の管理が大変になってしまいます。
大切なのは、 ”事前に” ”信頼できる人” に頼むことです。認知症になってからではこれができないので準備しておきましょう、ということです。
納得できるように、自分のことは自分で決めることが重要です。


③死後事務委任契約

死後事務委任は、死後のあらゆる事務手続きを代わりに行う手続きです。近くに相続人がいれば通常は相続人が行います。
死後、直ちに行わなければならないものも少なくありません。健康保険証の返却、賃貸物件の返却のための残置物処分やSNSの解約まで多岐に渡ります。手続きをしないと第三者に迷惑をかけてしまうようなものもあるので、そういうことを気にする方にとっては必須な契約と言えると思います。


④尊厳死宣言書

延命処置をとるか、延命処置をとらないかを自分で選ぶための書類です。
尊厳死とは、あくまで延命処置を行うだけの医療をあえて受けずに死を迎えることをさし、積極的に死期を早める安楽死とは明確に区別されます。
お一人様においては、ご自身の医療の判断を任せられる人は少ないと思います。特に第三者に任せるには心理的負担が重いものなので、書いてあるに越したことはないでしょう。


⑤葬儀社との事前契約

葬儀のことを事前に決めます。
頼れる相続人のいないお一人様にとっては、自分らしい葬儀を行うためにはこのような準備が必要です。近年は様々な葬儀の在り方があります。
カッコつけてもいいし、小さな小さなお葬式でもいいし、自分に合った方法を見つけることが重要です。


⑥墓の購入または永代供養先の決定

ご遺骨を最終的にどうするのか、生きているうちに決めておかないとその行先に困ってしまいます。現在は、お墓を持つことばかりがいいことではありません。
信用して任せられるお寺さんなどに永代供養を依頼する人も増えています。この他に、宇宙散骨や海洋散骨などの方法もあります。
最後の最後をどうするかも考えて、実行に移しましょう。


以上が今回検討する事項です。
他にも細かいことを言えばいくつもありますが、今回はこの6つの項目で進めて行きます。



パターン毎の重要度

さて、ここからは(1)~(3)個別にそれぞれのタイプで考えていきます。
タイプによって、気にした方がいいものの優先順位が異なります。

(1)相続人が一切いない

相続人が一切いないということは、相続のことだけではなく、生きている間はもとより、亡くなった後の身の回りのことをしてくれる人がいないということです。
したがって、以下の事項を検討しましょう。

①遺言書              重要度 中重要度 超大
②財産管理委任契約&任意後見契約  重要度 中
③死後事務委任契約         重要度 超大
④尊厳死宣言書           重要度 大
⑤葬儀社との事前契約        重要度 大
⑥墓の購入または永代供養先の決定  重要度 大

遺言書は遺産を引き渡したい人(組織)がいる場合には重要度超大です。
相続人が一切いない方が、もし遺言書を書かなかった場合は国に渡ります。
せっかく働いて作った財産を国に渡らせるのはお勧めはしませんが、最悪の事態とは言い切れません。
どうせなら、お世話になった人、感謝を伝えたい人、同じ病気で苦しむ人、それらを助けてくれる組織などに遺贈寄付されることを検討してみてください。

③死後事務委任契約は事情によっては最重要となります。死後事務委任は、死後のあらゆる事務手続きを代わりに行う手続きです。
賃貸物件の返却のための残置物処分やSNSの解約まで多岐に渡ります。手続きをしないと第三者にご迷惑をかけてしまうようなものもありますので、そういうことを気にされる方にとっては必須な契約と言えると思います。

④~⑥はいずれも重要度は高めです。
『自分らしい最後』というテーマにおいてはどれも自分で決めることに価値があります。託すことができる誰かがいる方は、想いだけでもその方に伝えておくことをお勧めします。


(2)相続人はいるが何らかの事情で関わりたくない、関わらせたくない

先に述べた通り、このパターンが一番気を付ける必要があります。

①遺言書              重要度 超大
②財産管理委任契約&任意後見契約  重要度 超大
③死後事務委任契約         重要度 超大
④尊厳死宣言書           重要度 超大
⑤葬儀社との事前契約        重要度 超大
⑥墓の購入または永代供養先の決定  重要度 超大

ここでは相続人が ”いる” ということが問題です。
何も準備をしないということは、そのことごとくが相続人に対して通知がいってしまったり、協力を求めざるを得なくなったりする可能性があります。
協力を求めなければならないこと、そもそも通知が行くこと自体が嫌な方もいらっしゃればを嫌がる方がいます。

数ある中でも最も重要なのは、①遺言書でしょう。
このタイプのお一人様は過去に他の親族とトラブルがあったり、生まれてこのかた一度も会ったことがなかったり、通常とは違うのっぴきならない事情があります。
そういう方々にとっては、相続人に財産を渡してしまうことが最も許容できない事柄ではないでしょうか?

もっとも、遺言書以外のどの項目についても準備しておかないと頼りたくない相続人に頼ることになってしまう可能性が充分にあるので、そういう意味ではどれも最重要と言えます。
とにかく、このタイプは少しずつでもいいので、対策をしておきましょう。
最終的には全てフォローできているところまで持って行きたいですね。


(3)相続人はいるが近くにいない

相続人はいるので、相続的な目線ではそれほど問題はありません。ですが、身の回りのちょっとしたことを解決するのが困難な事例です。

①遺言書              重要度 中
②財産管理委任契約&任意後見契約  重要度 中
③死後事務委任契約         重要度 大
④尊厳死宣言書           重要度 大
⑤葬儀社との事前契約        重要度 中
⑥墓の購入または永代供養先の決定  重要度 小

今回の手続は、多くのことが信頼できる相続人さえいれば対応できるものです。
とはいえ、遺言書は誰もが書いた方が良いし、葬儀だって自分で決められるなら自分で内容まで決めてしまう方が本当は良いです。

特に優先すべきは死後事務委任契約かなぁと思います。相続人が遠方に住んでいるということは、長期間の滞在は難しく、死後のいくつもの手続きを行うのに時間が足りません。
また、お1人様が賃貸物件に住んでいる場合は特に重要で、早急に住居内の残置物処理、解約&引き渡しが必要です。急いで手続きをしなければならない場合も多いので注意が必要です。



まとめ

お一人様のパターンに合わせて必要な手続きと優先順位を説明してきました。
お一人様の皆様にとっては、心配事が多いと思います。
多くの方が口をそろえて言うのは、誰にも迷惑をかけたくない。ホントに頭が下がる思いです。
一つずつちゃんと解決していけば、迷惑をかけることもなく自分らしい最後を迎えることはできます。なんとなくもやもやしたまま悩み続けるぐらいなら、ちゃんと相談してすっきりしてみてはどうでしょう?


不安を解決して、最後まで楽しく生きる!!ということが最も重要なことです。
いつかくる最後のことは解決して、今を楽しみましょう。




最後までお読みいただき、ありがとうございました!!