遺言書とは
被相続人(亡くなる前の方)が自分の意思で、
死後の財産の処分の方法、遺言書の指示を誰に実行して欲しいか、
誰に未成年の子どもの世話をして欲しいかなどを明記した、
法的な書類のことを言います。
遺言書を作成しなければ、うまく実現できないことがあります。
特に、一部の相続人に財産を多く残したい方、子どもがいないご夫婦、
相続人以外に特別に財産を残したい方は遺言書の作成を強くお勧めします。
遺言の種類
遺言には種類があります。
単純に遺言を作成するといっても、内容や家族構成など様々な要素を総合的に判断した上で
どの遺言を作成すべきかを考える必要があります。
公正証書遺言
遺言者が遺言の内容を決定し、公証人が文章にまとめて作成する方法です。 公証役場で作成します。自筆証書遺言よりも、安定した効力を発揮しますが、手間、費用が掛かります。 公正証書遺言の費用について下記のURLをご確認ください。
Q. 公正証書遺言を作成する場合の手数料は、どれくらいかかるのですか? | 日本公証人連合会
メリット
- 遺言として確実に残すことができる
- 相続人が遺言があったかどうか公証役場で検索をすることができる
デメリット
- 公証役場に出向くか、公証人に自宅等に来てもらう必要がある
- 打合せに少し時間がかかる
- 費用が高い
- 親族等関係者以外の立会人を2名用意する必要がある
- 必要書類をそろえるのに手間がかかる
※ 未成年、推定相続人(遺言者が亡くなったら相続人になれる立場にある人)、受遺者(遺言により財産を貰う人)及びその配偶者並びに直系血族、公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び雇い人は証人になることはできません。
自筆証書遺言
遺言者が遺言の内容を手書きで作成する方法です。 法律に書き方の条件が複数あり、間違えてしまうと書いても効力が無くなってしまうことがあります。相続法改正により、遺産目録の部分はPCで作成できるようになるなど手続きが簡易になりました。 手軽さ、費用の少なさから選びやすい分リスクがある点にご注意を。
メリット
- 形式さえ理解していればすぐに作成することができる
- 作り直しが簡単にできる
- 費用がかからない
デメリット
- 家庭裁判所での検認手続きが必要
- 紛失、盗難、改竄の恐れがあるもし形式に誤りがあった場合、遺言が無効になる可能性がある
- 内容が改ざんされたり、隠匿されてしまう可能性がある
秘密証書遺言
遺言者が手書きで作成し、その遺言書を公証人が封印して保管する方法です。 その名のとおり、内容は秘密のまま遺言書の存在を公証人に証明してもらいます。自筆証書遺言同様作成には要件があり、その要件を満たさなくてはならない点に注意が必要です。
メリット
- 内容を誰にも知らせることなく作成することが可能
- 遺言書を書いた記録が残る
デメリット
- 書き方を誤ると無効になってしまう可能性あり
- 親族等関係者以外の立会人を2名用意する必要がある
- 紛失の恐れがある
遺言書の効果
遺言書に残された内容に従って、亡くなられた方の遺産は分配されます。遺言書がない相続では、遺産分割協議が必要になります。(最大決平成28年12月19日判決において、預貯金についても遺産分割協議の対象と判事されました。つまり、預貯金も遺産分割協議書がないと下ろすことができないということです)
遺産分割が法律上有効に成立するためには、(1)相続人全員が、(2)実印で押印することが必要です。相続人全員が納得しない限りは遺産分割協議は成立しません。
遺言書があれば、遺産分割をする必要はなくなり、遺言書のとおり預貯金の引き出しができ、不動産の名義を変更することができます。 また、手続きに必要な書類も最小限まで減らすことができます。