2022/1/26仕事

Story of 同性婚の代替手段

LGBTQの方の相続についてもご相談を受けることがあります。
同性婚は日本では認められていません。
いわゆる事実婚というものも、異性間では柔軟に判断されますが、今のところ同性においては厳しいですね。

渋谷区、世田谷区を皮切りにパートナーシップ制度を設けている自治体は少しずつ増えてきました。
ちょっと調べたら、今では140を超える自治体がこの制度を導入しているそうです。

ですが、このパートナーシップ制度に法的な効果はほとんどなく、生命保険の受取人の変更、携帯電話の契約における家族割の適用などかなり限定的な場面での適用が対象となっています。

実際に同性愛者の方々からすれば、ないよりはあった方がいい程度に過ぎないのでしょう。暮らしの上でのあらゆる困ったにはいまだカバーできていません。

そんな中、彼らの中で古くから利用されてきたのが養子縁組制度です。
養子縁組とは、元来、法律上の親子関係を作る制度です。

これによって、婚姻ができない同性愛者の方々にとっても家族になることができるということです。
年齢が近い二人の間で、年長者を親として、年少者を子とする養子縁組をするわけですね。

倫理的には、法律的親子関係となったもの同士が性交渉をするのはどうか?とか色々あるとは思います。でも、彼らからすれば同性婚が認められない以上、生きやすくするために必要な方法をとっているとしか言いようがない部分もあると思います。

今回、同性愛者のお二人からお互いに遺言書を書きたい、ということでご依頼をいただいています。
お二人は養子縁組を行い晴れて法律上の親族となってから、お互いに財産を残すような遺言書を作成するという希望を持っています。


私自身は縁組届を出したことがないので、細かいことは知りませんでしたが、法務省からの通達があり、年齢が近い者同士の養子縁組では審査が入ることがあるそうです。
本来は婚姻のときのように、縁組届を提出するだけですぐに認められるはずです。
ネームロンダリングなどの犯罪への転用に対する政策の用です。
こんなことで正当に養子縁組をしたい方々への権利が制限されるのには、ほとほと困ってしまいますね。

私自身は、同性愛者間の養子縁組を否定も肯定もしません。法律的に同性婚をが認められていない以上、必要なものとして事実上認められてきたもの、と考えています。
もちろん、これによって発生する法的責任を無視することはできないので、十分理解した上で行うことが必須です。争いになったとき、疑似同性婚であると判定されれば、親子関係を創出する意思がないと判断され養子縁組が無効とされることもありえると思います。
養子縁組はあくまで親子関係を創出するものですから、法律上は事実婚の代替手段として認めることはできないでしょう。
でも縁組をすることによって、日常生活が円滑に進むということは多分にあると思います。制度の過渡期というのは、良い悪いが混在している状況になっても仕方ないと思うのです。

あくまで代替手段としての養子縁組であり、そもそも養子縁組には相手に不貞をさせない義務だとか夫婦生活を営む義務などはないので、当事者の方々からすれば本当はちゃんと婚姻をしたいと思うのだろうなぁと思います。



法律は多くの方に当てはまるようにできていますが、どうしても少数派も発生してしまいます。実際に少数派で困っている方々にとっては、リスクをとってでも必要なことってあると思います。

多くの方が幸せに日々をおくれるようになってほしいと思います。


難しいことはさておき、養子縁組の成立おめでとうございます!!