2020/4/14仕事

Story of 印鑑って重要なの?

司法書士的にはまぁまぁ大事なこと。





リモートワークの課題


コロナ自粛を受けて、リモートワーク、テレワークがかなり普及してきましたね。
かく言う私も、事務所にはいかず基本は在宅で業務をこなしています。
前から在宅でもやっていたんで、慣れていますけど皆さん正直在宅で仕事できてますか(笑)?
勉強しようと思ったら、部屋の掃除始めて、部屋の掃除中に過去の写真とか見つけちゃって結局勉強してない、みたいなことが在宅ワークだと起きませんか?

在宅で仕事をするって結構人を選ぶと思うので、私がやっている在宅で仕事をこなす術を今度書こうと思います。

さて、ニュースや皆さんの話を伺っていると、今のこのご時世で足を引っ張っているものがあるそうです。

それが、『印鑑』なんだそうです。

なんでも、契約書や請求書、領収書などに押印する印鑑が会社にあるために、押印をするためだけに出社する必要があるとか。
まぁ確かに会社の印鑑を一社員が保有するのも問題ですから、会社に保管すること自体はしょうがないことですが、そもそも押印って絶対に必要なのかというテーマにしてみます。



印鑑ってそもそも何?

そもそも印鑑って何なんでしょう?
歴史やその役割について。
まずはWikipediaから


印章(いんしょう、英語: seal)は、象牙金属合成樹脂などを素材として、その一面に文字やシンボル彫刻したもので、個人・官職・団体のしるしとして公私の文書に押して特有の痕跡(印影・印痕)を残すことにより、その責任や権威を証明する事に用いるもの。(いん)[1](はん)[2]印判(いんばん)[3][1][2]印形(いんぎょう)[4]印顆(いんか)[4][注釈 1]印信(いんしん)、ハンコ(判子[注釈 2][1][2]ともいう。

しばしば世間一般では、正式には印章と呼ばれるもののことをハンコ、印鑑(いんかん)と呼んでいるが[2]、厳密には印章あるいはハンコと同じ意味で「印鑑」という語を用いるのは正確ではない[2]。古くは、印影と印章の所有者(押印した者)を一致させるために、印章を登録させた。この印影の登録簿を指して印鑑と呼んだ。転じて、印鑑登録に用いた印章(実印)を特に印鑑と呼ぶこともあり[7]、更には銀行印などの登録印や、印章全般もそのように呼ぶ場合もある[8]

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B0%E7%AB%A0


そもそも印鑑は正しい表現じゃなくて、印章が正式な表現だそうです。
なるほどそれで「鑑」という字を使うわけですね。
とはいえ、そもそも伝わらなきゃ意味がないので、これからも印鑑を使いますけどね。

もともと、印鑑文化は中国から伝わってきたものです。
現在、世界で印鑑を利用している国は中国と日本だけです。
過去には、台湾、韓国も印鑑が存在し、日本と同じように印鑑証明書まで存在していました。

これが徐々に廃止されて、今では印鑑証明書が出るのは日本と中国のみです。
とはいえ、中国の印鑑証明書はどこで作ってもらうかで内容もまちまちで、現物を見てみないと利用できるかどうかもわかりません。

そもそも公文書として全国どこの役所で請求してもほぼ同じ内容の証明が出てくるのなんて世界でも日本くらいのものだと思います(体感です)。
住所が載ってないとか、生年月日が載っていないとか、国や自治体によって全然変わってきます。


ここ日本では簡単な契約を除いて、今でもやっぱり印鑑を求められます。
我々司法書士も印鑑を求めます。
携帯会社の契約なんかも昔は印鑑を求められましたが、最近は印鑑なしでできるようです。
あの契約は印鑑が必要で、あの契約は印鑑が必要ないなんてことは誰が決めているんでしょうか?



契約と印鑑


私たちの生活は契約であふれています。
コンビニで買い物したり(売買契約)、タクシーに乗ったり(請負契約)、働いたり(労働契約)、意図せず生きていくのに契約を交わしています。

では、皆さんコンビニでお茶を買うのに、契約書作って印鑑押しますか?
当然、押しませんよね。

つまり契約が成立するかどうかは、契約書があることでもましてや印鑑が押されていることでもありません。
契約の成立は(一部特別な法律がある場合を除いて)口頭でも成立します。
じゃあ何で契約書を作って印鑑を押すのかと問われれば答えは一つです。

契約の内容を明確にして、双方がをそれを理解したことを証明するためです。
俺ができていれば、もし契約内容に不備があった場合、責任の所在を明らかにできるし、当初想定していなかった事態にも契約書に記載されている方法で対処できます。
だから、今回のコロナ騒ぎであらゆる問題出ている中で、契約書がそれをどこまで想定し作られていたかで守られるのか、責められるのか分岐点になっています。

少々話がそれましたが、印鑑は契約の成立における必須要件ではないということです。
ちゃんと契約内容を確認したよ、納得して契約したよ、というのを証明するのに、日本では署名捺印が求められることが多いということです。


印鑑なんかなくってもいいんです。
お互いが納得していれば署名だけでも問題はありません。

でも、契約書はちゃんと作ったけど署名捺印をしなかったとき、相手は契約書があることは知っているけど、その契約に納得しなかったから署名捺印しなかったよ、と逃げ道が生まれます。
ちゃんと納得して契約したことを確認する術がないことだけが問題なんです。

そこで日本では、署名又は捺印がされていることに一定の意味を与えました。

民事訴訟法
(文書の成立)
第228条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2.文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
3.公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
4.私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5.第2項及び第3項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。


細かい論理は置いといて、裁判所は、署名又は捺印がある契約書を本人の意思で契約されたものと推定します。
推定してくれるので、契約をしていないというなら、なぜ署名捺印があるのか、否定する側が証明しなくては契約が成立したことになります。


ここでいう捺印を実印で行っている場合、印鑑証明書と実印をセットに提出されていれば、本人の意思ではないと証明するのは事実上困難です。
一般的に、実印と印鑑証明書は当然自分で管理しているものであろうと思われるから証拠として有力なのです。


っていうことで、印鑑を押すしかも実印を押す、ということには一定の意味があります。
でもこの緊急時に必要かと問われるとどうかなと。
別に契約書だけで契約の成立の話をするわけではありません。
例えばメールでやり取りしている経緯だとか、電話の記録だとか、こういったものだって契約がしたのが確かだろうという証拠にはなります。
法律上の推定が働かないだけです。

そんなことで、先ほどの問いに対しては、事業者側がリスクが少ない契約だと思えば、印鑑を求めないケースも増えているということになります。


また、知り合いの弁護士が言っていたことですが、裁判になって、「そもそも契約自体が成立していない」という議論は正直ほとんど存在しないというのです。
この推定はあくまで、契約なんかしてないよ!という人に対して、いやいや契約書に署名捺印しているんだから契約してないなんて言わせないよ!という話です。
だから、契約はしたけどその内容が・・・とか印鑑の問題とは全然別の問題です。



個人的には


この緊急時に押印をするためだけに出社したくもないのに出社するぐらいなら署名だけして押印は後日にするとか、PDFに印鑑を電子署名にしてみるとか、むしろやり取りをメールなどで行い、エビデンスを残すようにすることの方が重要だと思います。

要は契約が間違いなくされていて、その内容が改ざんされなきゃいいわけです。

ブロックチェーンを利用して、電子で作成した契約書が締結された日を記録して、かつ内容の改ざんが行われないようにして保管することもできる時代になっています。
電子契約は、印紙税かからないし契約を頻繁にされる事業の方にはホントにおすすめです。

ホントのこと言うと、印鑑文化自体、相手の本人確認にもなるので私は嫌いじゃないんです。

が、今そんなこと言っている場合ですか?変えられるところは働きやすくできるように変えるきっかけでは?と思うのでした。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!!